CONCEPT
めざしていること
怖いから、とは別の感情で防災を学びたい
防災イベントでは「こんな大災害がきたらどうなる?」という想定でその被害を学ぶことがよくあります。「恐ろしいから備えよう」と防災意識を高めるのです。
実際に、油断しているときが一番危険ですから、そうした防災教育のあり方も正しいと思います。けれど、人はだれでも脅されて気持ちよくはありません。
もっと楽しい気持ちで防災に向き合うことはできないのか。自然災害に「油断しない」という出口はそのまま、脅すのとは別のアプローチもあるのではないかと考えました。
僕らの毎日は守られていたことを知る
昔から人は、水害対策につとめてきました。都内でも、半世紀前ならば浸水も珍しくありませんでした。でも、防災システムが強固な今は、まちの浸水を経験したことがない方がきっと多数派ではないでしょうか。
その結果として、僕らが水害のこわさを身をもって知る機会は減り、対策につとめる技術や仕事を意識する機会も減りました。高度になるほど軽んじられる仕事というのは、治水に限らず、インフラ技術全般の構造的な課題かもしれません。
そこで「防災の努力」と、それで実際に「防がれた災害」をセットで伝えれば、脅すことなく、感謝の気持ちから「油断しない」につなげるのではないか。これが本制作の根っこにある思いです。
遊ぼう!という気持ちから入れる防災教育を
とはいえ、こうした説法ありきでゲームを作ってしまうと、遊び本来の良さを見失いがちです。アラカワスイモンバンでは「防災の努力」をプレイ体験を中心にすえ、「防がれた災害」は補助要素で表現しています。
現実の河川事務所で働く人たちは、ゲームのように自己判断で水門を開閉することはありません。でも「水門の開閉タイミングが大切」だと体験してもらうことで、現実の仕事にも関心を向けやすくなると思います。
まずは遊んで楽しめる。楽しみながら、いつのまにか、水門や治水技術が身近に感じられる。「アラカワスイモンバン」は、そんな防災教育ツールになることをめざしています。